世界史の発展と多様なアプローチ

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Re: 世界史の発展と多様なアプローチ

by writer » 2025年4月02日(水) 06:15

「20〜21世紀 グローバル・ヒストリー」は、国民国家や西洋中心の歴史観を超えて、世界全体の相互連関・交流・移動に注目した新しい歴史の潮流です。 
従来の「一国史」や「西洋vs非西洋」という構図を問い直し、「世界をどうつなげて語るか?」を探るアプローチです。


◆ グローバル・ヒストリーとは?

キーワードで言えば:
・境界を越える歴史(transnational history)
・連関・移動(circulation & connection)
・ネットワークとしての世界
・多中心的(multi-centric)な視点


◆ 背景にある問題意識

| 従来の歴史         | グローバル・ヒストリーの問題提起      |
|---------------|-----------------------|
| 国民国家単位で語られる   | 国境を越えた人・モノ・アイデアの流れを重視 |
| 西洋を基準とする発展段階論 | 非西洋にも固有の歴史的論理がある      |
| 中心と周縁の固定化     | 「中心」や「周縁」自体が動的・相互依存的  |


◆ 代表的な研究・トピック

・大西洋奴隷貿易とプランテーション経済 
 → アフリカ、ヨーロッパ、アメリカを結ぶ「三角貿易」の連関

・シルクロードとインド洋交易 
 → 文明の接触・モノと宗教の伝播(香辛料、仏教、イスラームなど)

・19世紀の移民の流れ(中国・インドから東南アジア、アメリカなどへ)

・近代グローバル資本主義の拡大と帝国主義

・コロンブス交換(Columbian Exchange) 
 → 1492年以降の新旧世界間での動植物・病気・人口の大規模な交換


◆ 代表的な研究者

| 研究者名          | 特徴・主著など                                    |
|---------------|--------------------------------------------|
| ケネス・ポメランツ     | 『大分岐(The Great Divergence)』で中国と西洋の比較。産業革命は「偶然と資源」による |
| C.A. ベイリー        | 『グローバル・ヒストリーの誕生』で世界の相互連関を重視                |
| サンジャイ・スブラマニアム | 越境する商人・文化人などに注目した「コスモポリタンな歴史」              |


◆ グローバル・ヒストリーの意義と課題

● 意義:
・世界を「つながりの中で」見る視点を提供
・地域間の不平等や植民地主義の歴史的構造を可視化
・「単線的な進歩史観」から脱却し、多元的な歴史を描く

● 課題:
・「すべてがつながっている」としても具体性が薄れるおそれ
・ローカルな文脈や主体性が埋没する危険
・欧米のアカデミア中心になりがちな限界


◆ 日本史・東アジア史との関係で言えば:
・鎖国の時代も「閉じていた」わけではなく、オランダ・中国との交流、出島、朝鮮通信使などグローバルな要素がある
・明治以降の帝国日本も「アジアの中の帝国」として再検討される


グローバル・ヒストリーは「どのように語るか」だけでなく、「誰が語るか」「誰に向けて語るか」という問いも含んでいます。

Re: 世界史の発展と多様なアプローチ

by writer » 2025年4月02日(水) 06:14

20〜21世紀にかけての「アナール学派・社会史」は、20世紀前半にフランスで生まれた歴史学の革新運動であり、「政治中心・事件中心」の歴史から脱却し、人間の生活全体、特に社会構造や長期的変化(長期持続:ロングデュレー)に注目した歴史観です。


アナール学派の概要

・発祥:1929年、マルク・ブロックとリュシアン・フェーヴルが創刊した雑誌『アナール(Annales)』が起点 
・特徴:従来の歴史学(政治史・王朝史)への反発から始まり、社会構造や経済、気候、習俗など「無名の人々の歴史」「日常の歴史」へと視野を広げた


代表的な学者とそのアプローチ

| 学者名              | アプローチの特徴                                  |
|------------------|-------------------------------------------|
| マルク・ブロック         | 『封建社会』などで社会構造に注目。中世の農民の視点で世界を描く。          |
| リュシアン・フェーヴル      | 知的・心理的な枠組みに注目(「心性史」)                      |
| フェルナン・ブローデル      | 『地中海』で「時間の三重構造」(1.地理的時間 2.社会経済の時間 3.出来事の時間)を提示 |
| エマニュエル・ル・ロワ・ラデュリ | 村の生活史や気候の歴史など「歴史人類学」へ接近                   |


キーワード

・ロングデュレー(長期持続) 
 短期的な事件(戦争・革命など)ではなく、社会構造や経済基盤の長期的変動に注目。

・心性史(メンタリテの歴史) 
 近代以前の人々の考え方・感情・宗教観など、数値化されにくい精神世界の歴史。

・無名の人々の歴史 
 王や国家だけでなく、農民・女性・労働者・地域社会など、これまで無視されがちだった人々の営みに注目。

・多領域的アプローチ(interdisciplinary) 
 歴史学だけでなく、地理学・経済学・社会学・人類学などと連携。


歴史観の変化:事件から構造へ

| 旧来の歴史  | アナール学派         |
|--------|----------------|
| 出来事中心  | 構造中心           |
| 偉人・戦争  | 村・社会・日常        |
| 政治・軍事史 | 社会・経済・文化史      |
| 短期の変化  | 長期の変化(ロングデュレー) |


現代への影響

・現代の社会史・文化史・歴史人類学の基礎を作った 
・グローバル・ヒストリーや環境史にも思想的影響を与えた 
・教科書にも取り入れられ、歴史の多声性を意識する視点が一般化

Re: 世界史の発展と多様なアプローチ

by writer » 2025年4月02日(水) 06:12

「4. フレームの脱構築」とは、歴史の枠組み(=フレーム)や前提そのものを問い直し、再構築しようとするアプローチを指します。
つまり、「これまでの歴史の見方自体が正しいのか?」「その枠組みはどう作られてきたのか?」というメタ的な視点から歴史を考える動きです。

「フレームの脱構築」の代表的な動向:
1. 20〜21c 言語論的転回 
  ・歴史叙述が言語によって構成されることに注目。 
  ・歴史=客観的事実ではなく、物語として語られるという認識。 
  ・例:ヘイドン・ホワイト(歴史も文学的に構成される)

2. 20〜21c 歴史の構築性への問い 
  ・歴史とは「何が」「なぜ」語られたのか、その政治性や権力構造に注目。 
  ・「誰の視点で書かれた歴史か?」を問うポストコロニアル的視点もここに含まれる。

3. 20〜21c アナール学派・社会史 
  ・個人や国家中心から離れ、構造や日常生活、長期的変動に注目。 
  ・フレーム=政治史という前提を壊し、社会全体の変化を見る。

4. 20〜21c グローバル・ヒストリー 
  ・国家中心の枠組みを超えて、相互連関・越境的な視点を重視。 
  ・西洋中心史観の「脱構築」としての側面も強い。

5. 20〜21c 環境生命系の歴史 
  ・人間だけでなく、自然や生態系、気候との関係を歴史に組み込む試み。 
  ・これも人間中心主義というフレームを問い直す。


なぜ「脱構築」が必要とされたのか?

・歴史が「中立的な事実の記録」として語られる一方で、 
 実際には特定の立場や価値観が強く反映されていた。 
・植民地支配、帝国主義、ジェンダー差別など、 
 「見落とされてきた声」が多くあった。
・グローバル化や多文化主義の進展により、 
 一つの正史では捉えきれない世界の複雑さが浮き彫りに。


要するに「フレームの脱構築」とは、 
「歴史ってそもそもどういうものなのか?」 
「誰が、どんな目的で、何を歴史として語っているのか?」 
という問いを立てる、新しい歴史認識の潮流です。

Re: 世界史の発展と多様なアプローチ

by writer » 2025年4月02日(水) 06:11

■ 主な枠組みと例

1. 規範の共有
・前1〜後18c 司馬遷・正史
・1c 『旧約聖書』

2. アイデンティティの共有
・14c ラシードゥッディーン
・20c 戦前日本の世界史

3. 人間・社会の洞察
・前5c ヘロドトス
・前5c トゥキュディデス
・前2c ポリュビオス

4. フレームの脱構築
・20〜21c 言語論的転回
・20〜21c 歴史の構築性への問い
・20〜21c アナール学派・社会史
・20〜21c グローバル・ヒストリー
・20〜21c 環境生命系の歴史


■ 過去から未来への流れ

矢印により、「継承・交流」「対抗関係」などの関係性が示されており、以下のような流れが読み取れます:
・19〜21c ランク・実証主義史学 → 20c 日本の戦後歴史学
・20c 戦前日本の世界史 ↔ 20c 日本の戦後歴史学(対抗関係)
・20〜21c グローバル・ヒストリー ↔ 20〜21c 環境生命系の歴史(交流)
・進歩史観・唯物史観の流れが新しい歴史認識に影響

世界史の発展と多様なアプローチ

by writer » 2025年4月02日(水) 06:10

世界史の発展と多様なアプローチ

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